このフリル状の面白い一枚

 

 

<軟質陶皿 年代不明 26㎝ フランス「Majorelle NANCY」>

 

私はこの絵皿が好きです
この道化師の何とも言えない表情

色気というか、哀愁という、
いや、単に美しくて愛おしい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、道化師といえば、

国によって時代によって呼び方も違いますね
そして歴史を見ると、宮廷道化師(ジェスター)に行き当たります

 

 

 

 

 

中世ヨーロッパに遡り、
王様・貴族たちの所有物のように愚者としての扱い、
自分の所有する宮廷愚者は、
貴族間で交換させたり、贈り物として扱われたり

 

とはいえ、自分の所有する愚者が、
芸事に秀でていたり、みんなの注目を浴びたりすることを、
自分自身への賞賛だと考え、誇らしくも思ったそうです
(いつの時代でもありそうな話ですね)

 

そして、そんなポジションだからこそ、

目上の王に対しても、面白い悪戯をしたり、

いわゆる失礼な言動を許される特別な存在であり、
中には、その客観的な立ち位置ゆえに
政治的オンブズマンのような発言が通ったり・・と、
支配してるのかされてるのか?な場合もあったようです

 

あえて、愚か者のふりをして、影響力のある行いをするなど
油断させといて。。。みたいな
(これもまたありそうな話ですね)

 

そんな背景がありながらも、
時代とともに、道化師としても喜劇的・悲劇的な印象の変化があり、
見た目にもカラフルだったり、妖艶な美しさがあったり、

演劇やサーカス、大道芸など、
体や頭を使い、
人を楽しませるための業をする方たちを指すようになったそうです

 

 

 

 

いわゆる現在のクラウンやピエロのような、明るくてお茶目、

でもちょっとミステリアスなキャラが定着するまでに、
それはそれは長い時間がたったのですね

 

ちなみにピエロの涙メイク

 

人を楽しませる笑顔、道化を演じる姿の胸の奥に、
実は人知れぬ哀しさを胸の内に秘めてたり
そんな不思議な雰囲気が、ピエロにはあります

顔で笑って、心で泣いて
(そして、これも私たちにも当てはまりそうですね)

 

この手の話になると、いろいろ広がっていきそうです

 

 

 

 

だからこそ、この道化師の絵皿をみると、

 単純に「素敵」だけとは違う、

感傷的でミステリアスな魅力を感じて 魅かれてしまう作品なのです

 

 

GALLERY YUI